幸せになることを回避する[幸せ恐怖症]:会社編


さて会社での人間関係、とくに上司との折り合いが悪い人に向けて、岩月謙司著「無神経な人に傷つけられない88の方法」P110から引用してみる。

原文は親と子供の関係を述べているが、親を上司に、子供を部下に置き換えて記載するとこうなる。


◾︎幸せになることを回避する幸せ恐怖症

部下は上司から嫉妬されることが1番怖いことなので、必死になって上司から嫉妬されないように振る舞います。困ったことに、部下が上司にもっとも嫉妬されるのは、もっとも部下が悦びを得たときです。

部下は悩みます。上司から認められようと思ったら、上司の嫉妬を回避しなくてはいけません。でも上司からの嫉妬を回避しようとすると、1番したいことができなくなるのです。つまり、上司からの承認をとるか、自分が不幸になるか。あるいは、上司から嫉妬を受けるか、自分がやりたいことをするか、究極の選択です。利害が完全に不一致だからです。不一致どころか、部下の幸福は上司の不幸になるという構造不幸です。

究極の選択を迫られた部下は、ほぼ全員が自分の幸福を捨てようと決意します。上司からの嫉妬を免れるために自分の幸せを回避するようになるのです。はたから見ると、幸せを恐れるように見えるために筆者(岩月)はそれを「幸せ恐怖症」と名付けました。

幸せを回避する方法はいくつかありますが、例えば自分の第1希望ではなく第3希望を実行する事です。企画を進めるとしましょう。AプランとCプランのどっちがいい?と聞かれたとき、本当はAプランをしたいのにCプランにしましょう、と答えてしまうのです。

当人はそれが自分の第1希望だと思い込んでいますが、実は第3希望なのです。自分が第3希望を選択している限り決して上司から嫉妬されないことを、入社した頃から学習して知っているのです。でもそれを遂行していることを自覚するのは辛いことなので、自己暗示をかけたり巧妙な言い訳をしたりしてそれが第1希望だと自分に言い聞かせるのです。

なお嫉妬心の強い上司(不幸な上司)を持つと、実行する希望順位はさらに下がり、第5希望とか第10希望とかになります。また、心の感度の高い人は上司のちょっとした嫉妬心をも敏感に読み取りますので、希望順位はさらに低くなります。そのため何番目の希望を選択するかは「上司の嫉妬心の強さ(上司の不幸度)×「部下の心の感度の高さ」で決まります。上司の嫉妬心が小さくても、心の感度の高い部下は順位が下がるのです。

これらは当人は全くの無意識です。幸せから逃げているなんて夢にも思いません。


幸福な人生よりも、少し不幸になって上司から嫉妬されない人生のほうを選んでしまう。



以上、引用終わり

いかがでしたでしょうか。以上のような観点からも、自分や周りの環境を少し掘り返してみることも大切かも知れませんね。