心のバランス

全ての行動は心のバランスに裏付けられている。特定の髪型にしたくなるのも、いつかその髪型を褒めてもらったから、その状態を維持したいと思う。なぜならそれ以外の髪型では褒められなかったから、自分がNo goodになってしまう…と思っている。

高級車に乗りたがるのも、それによって相手に経済的な差を見せつけて見下してやりたいから。高級車がなければ自分が負けてしまってみじめになる。存在価値がないし、他のものでは勝ち目がない。つまり自信がない。

そう、他のものでは勝ち目がないのだ。だから何かで勝ちたい、打ち負かしたい、勝てない自分が情けなくてそんな現実をもう二度と味わいたくない。何もできない、何の価値もない。

だから周りから価値があると言われている物を身につけることで、自分の無価値をかき消そうとしている。価値があると言われている物を所有する事で、自分にも価値があると思われたい。高価であるほど良い。それだけ自分の価値も上がるはずだから。

そんなだから本当の価値なんて分かるわけがない。自分では本物の価値が分からないから、他人が作りあげた物や多数派のほうに価値があると思わざるを得なくなる。

それで多数派の高級品やたくさんのお金、高学歴を手に入れようとする。大富豪も大金がなければ何の価値も無いと代々語り継がれてゆく。

高級品も結局は多数決と同じだ。株価とも言える。みんなが欲しがったり良いと思ったりする事で高価になっていく。つまりこれは広告宣伝によって操作可能であり、お金をかけて宣伝すれば良い物と思わせることができる。人々にそういう情報を植え付けることができる。つまり、洗脳できる。

例えば高級車の宣伝では「落ち着いた」「品のある」「羨望の眼差しを得られる」などの情報を忍び込ませる訳だ。

人々にとっても自分では価値ある物なんか分からないから、逆に「これが価値のあるものですヨ」と教えてもらったほうが何も考えなくて済む。本当に必要な物ではないのに、自分に価値を付加してくれるから、と信じて高いお金をつかまされる。

売る方も、あんまり消費者が賢くなったら都合が悪い。だからあなたには価値は無いから、うちの商品を買って価値を付けて下さいね、とやっている訳だ。大衆車ではみじめになりますヨ、貧乏くさく思われてバカにされますヨ、と。